日本人の英語習得における独自の壁とその突破法
日本人の英語習得における独自の壁とその突破法
― 視覚的リスニングと音声記憶の再構築 ―
著者:スコット・ペリー (Scott Perry)
(言語学者/英語習得専門家)
発行年:2025年
出版元:ペリー言語研究所
はじめに
日本は世界でも有数の英語関連商品・サービスの消費国であり、全国に数千の英会話スクール、さらに無数の小規模な独立系スクールが存在します。国内外を問わず、さまざまな教育機関や教材が提供されていますが、その多くは日本人特有の学習ニーズに十分に応えているとは言えません。
その結果、ヨーロッパでは第2言語、第3言語を2年半ほどで習得することが珍しくないのに対し、日本では20年、30年と長期間にわたり英語を学び続けても、流暢に話せるようにならない人が少なくありません。
そして多くの学習者が、自分の努力不足や能力の問題だと誤って自己責任にしてしまいます。しかし、日本の英語教育の現場で40年以上活動してきたスコット・ペリー氏によれば、原因は学習者ではなく、「専門家」とされる人々や教育ビジネスの運営者たちにあるといいます。彼らの多くは、日本人の特性や文化的背景を十分に理解しておらず、あるいは結果よりも利益を優先しているのです。
世界中の英語学習者が同じ方法で学べるという前提に立ち、ヨーロッパや他のアジア諸国で効果があったという理由だけで、それらの手法を日本にそのまま適用するのは、理解不足の証拠とも言えるでしょう。
日本人が直面する文化的・言語的な壁を乗り越えるためには、日本人のための特別な学習法が必要なのです。
しかし、その現状は逆に、多くの教育機関にとって大きなビジネスチャンスとなっています。何百万人もの日本人が、ほとんど成果が出ないまま、年々多額の費用を払い続けているのです。
本稿は、スコット・ペリー氏が40年以上にわたる現場経験と研究を通じて得た知見の、ほんの一部にすぎません。
内容のすべてに同意できない方もいるかもしれません。特に、英語教育ビジネスに関わっている方にとっては耳が痛い部分もあるでしょう。
しかし、それでもこの内容が無視できないものであることは、きっとご理解いただけるはずです。
Periegoメソッドによる40年の研究より(要約)
カタカナ変換システム ― 両刃の剣
日本では、外国語の単語は「聞いたまま」ではなく、「日本語の音」に変換されます。これはカタカナを使って行われ、スコット・ペリー氏はこれを「カタカナ変換ボックス」と呼んでいます。外国語の単語はこのボックスに入ると、日本語風の発音として出てきます。その結果、日本では誰もが同じように外国語を発音するようになります。10歳の子供でも、80歳の大人でも、英語のレベルに関係なく、発音はほぼ同じになります。これは国内での理解には便利ですが、元の音とは大きく異なるため、国際的な場面では通じにくくなってしまいます。
ローマ字教育と「音」から「つづり」への転換
日本の子どもたちはおよそ8歳頃からローマ字(アルファベットで日本語を表す方法)を学び始めます。この時点から、「音を聞いて真似する」という自然な習慣が弱まり、「文字情報を見て、日本語風に再構築する」プロセスへと移行してしまいます。たとえば、かつて“apple”をアメリカ英語風に発音できていた子どもも、ローマ字やカタカナに触れた後は「アッポル」のような発音に変わってしまいます。実際の音を再現するのではなく、つづりに基づいて日本語的に発音してしまうのです。
なぜ日本人は「聞き取れない」のか:聴覚と学習の断絶
スコット・ペリー氏によれば、「学ぶ力」は「正しく聞き取る力」に基づいています。
しかし、日本では英語を“学ぶ人(learner)”ではなく、“勉強する人(studier)”として訓練されてしまっているのです。Periegoメソッドでは、この誤った学習サイクルを断ち切り、英語を「聞き取る力」を再構築します。正しく聞き取れるようになると、その瞬間に質問ができ、言葉の意味を体験として理解できます。逆に、音が聞き取れなければ、検索も質問もできず、書かれていなければ意味も分からず、学習の機会が失われてしまうのです。
日本人学習者の多くは、単語を「見てからでなければ理解できない」傾向があります。視覚的に確認できることで初めて、紙やスマホを使って学習できるというパターンです。しかしこの方法では、言葉とのつながりが遠くなり、記憶や理解に多くの努力が必要となります。しかも、音を聞いていないため、発音ミスが固定化する傾向も強まります。
このようなサイクルにより、日本人学習者は「永遠に勉強し続ける」状態に陥ります。一方で、「聞き取る力」を最初に身につけた10歳の子どもは、より自然に、楽しく、そして圧倒的に速く言語を習得していきます。スコット・ペリー氏によれば、Periego式でトレーニングされた子どもは、最大8倍のスピードで英語を習得することが可能です。
日本独自の現象:「視覚的リスニング」
- 既知の単語(スペルが頭にある)→ 聞き取れる
- 未知の単語(スペルがわからない)→ 聞き取れない
これを「視覚的リスニング(Visual Listening)」と呼びます。音を聞くのではなく、頭の中にスペルを思い浮かべ、それをカタカナ的に変換してから理解する、というプロセスです。
超人的な処理能力 ― 頭の中の字幕生成
上級レベルの日本人学習者には驚くべき能力が見られます。英語を聞いている間に:
- スペルを頭の中で想像し
- カタカナ式の記憶と照合し
- より正確な発音と比較し
- その場で最終的な音を選び返答する
このように、まるで「頭の中で字幕を生成する」かのような複雑な処理をリアルタイムで行っています。
問題点:本来の音が「聞こえなくなる」
- 本物の音の細かい違いが聞き取れない
- つづりへの過度な依存
- 不正確な発音の習慣化
つまり、日本人学習者は「一貫性」はあるが、「正確さ」に欠けるという傾向があります。
解決法:Periegoメソッドで「本来の音」を取り戻す
Periegoメソッドは以下を徹底的にトレーニングします:
- 音の細部を聞き取る力
- ローマ字やカタカナ翻訳から脱却する力
- 英語の本来の音の記憶を再構築する力
この結果、88%以上の学習者が短期間で明らかな改善を示し、ほとんどの学習者が1〜2年で本物の発音と理解力を習得します。
結論
誰かがあなたにパスワードを「音」で伝えたとしましょう。多くの人はその音を正確に覚えて入力し、鍵を開けます。
しかし、日本の英語学習者はその音を“変換”してから覚えようとします。すると、もう正確な番号ではなくなり、鍵は開きません。
このように、日本の英語教育は、世界の他国では見られない独自の進化を遂げています。だからこそ、「自然な音」によるコミュニケーション能力を再構築するには、それ専用に設計されたメソッドが必要なのです。
Periegoメソッドは、そのために生まれたのです。
www.scott.perry@theverticegroup.com
あなたがどのような立場にいても、私たちはあなたをサポートするためにここにいます。世界での成功を目指す企業やビジネスパーソン、国際的な舞台を目指す俳優、お子様の未来を守りたいと願う親御さん、日本の教育をより良くしたいと考える教師、日本人学習者を本気で支援したいと願う著者――どなたであっても大歓迎です。
Perry Language Researchでは、言語は本来「音・意味・明瞭な発音・そして自信」を通じて学ぶべきものであり、それを再学習するのに「遅すぎる」ということは決してないと信じています。もしあなたが教育者、言語学者、または研究者であり、より良い未来のために役立つアイデアをお持ちであれば、ぜひその声を私たちに届けてください。共に、日本の英語学習を根本から変えていきましょう。今すぐペリーのオフィスまでご連絡ください。私たちは、あなたの準備が整うのを待っています。
